ヒキダスブログ

テック系や最近見たもの感じたことを書いて残す引き出しスペースです

「思いつく」を考える展で感じた、クリエイティビティのきっかけ

2018年になりました!
個人的には、今まで腰の重かった個人制作等のアウトプットにもチャレンジしていこうと思いつつ、インプットかつ気分転換として展示を見に行こうと思いました。
昨年末に アドミュージアム東京 がリニューアルしたものの休館日と重なったりしてそのまま年を越してしまいましたが、やっと見に行くことができました。


リニューアル後の常設展

f:id:pujoru35:20180107133204j:plain

これまで2階から降りながら作品を見ていく流れでしたが、リニューアル後は1階が展示スペースになり2階がライブラリになっているようです。以前に比べて開放的なスペースになっており、壁面にはプロジェクターにコピーが投影されたり、サイネージで広告の歴史を紹介したりと、全体的にはデジタルな展示手法になっています。

f:id:pujoru35:20180107133239j:plain

ローポリの3Dキャラクターを使い時代によって移り変わり行く広告の説明をしています。こういった可愛らしいキャラクターがあるだけで、説明調の展示にも温かみが出るような気がします。

f:id:pujoru35:20180107133308j:plain

テーブル状のディスプレイが幾つか設置され、そこには過去の広告作品を一覧化されていて、タッチするとその作品の情報や動画を見ることができます。

f:id:pujoru35:20180107133339j:plain

リニューアル後のイメージで気になっていたのが、雲のような白いオブジェクトが天井からぶら下がっているものです。これは中に入ると広告のCMを見られるようになっています。リニューアル前や他の展示でもそうですが、小さいディスプレイ型で見せるものは展示空間の環境音を配慮してかヘッドフォンを据え付けて、来場者はそれをかけて聞くという流れになっていましたが、わざわざそれをしなくても良いというのは新しいです。外観的にも一つの展示オブジェクトにも見えるので、展示スペースを占有しそうなもののこれもまた一つの展示アプローチと言えそうです。


「思いつく」を考える展

f:id:pujoru35:20180107133907j:plain

今回の目当ての一つが、「思いつく」を考える展 になります。話題のヒット作や優れたアイディアの裏側にある、「思いつく」に至る過程や思考方法を紹介するというものです。
見に行った理由としては、普段エンジニアでロジック立てて考えることから、自分ではどちらかというと論理的思考に強いと思う反面、クリエイティビティや発想がなかなかでないこともあり、デザイナーが次々とアイディアを出していく発想の引き出しには憧れを持っていたりしました。今後アウトプットをしていきたい私としては、「思いつく」スキルも身に付けたいところです。

f:id:pujoru35:20180107133920j:plain

最初に、脳科学者の茂木健一郎さんが、脳科学の見地で「思いつく」に至るシチュエーションを紹介していました。例えば、集中して考えた後にリラックスするとひらめきが生まれるとか、脳の整理整頓を促すためにデバイスから切り離れた環境を作ることを挙げていました。

f:id:pujoru35:20180107133951j:plain

その上で、「思いつく」を考える手法として以下の9つがあるとのこと。
- かくしてみた
- ふやしてみた
- シンボルつくってみた
- くっつけてみた
- ばらしてみた
- くらべてみた
- やめてみた
- やばくしてみた
- いれかえてみた

展示では、それらの手法ごとに照らし合わせた事例とアウトプットに至るプロセスの紹介がありました。

f:id:pujoru35:20180107134012j:plain

「かくしてみた」なら、盛岡のさわや書店フェザン店に置かれて注目された文庫Xが取り上げられていました。可視化される要素を隠すことで先入観を取り除きPOPの文字情報で想像し購入喚起を促すもので、福袋といいビジュアルに左右されない販促アプローチでは興味深いものではあります。
他にも、「ふやしてみた」なら多数の品揃えを誇るドンキホーテ、「シンボルつくってみた」は多様な生き方を尊重するLGBTを象徴する「レインボーフラッグ」、「くっつけてみた」だと教育 × エンターテインメント で昨年注目を浴びた「うんこ漢字ドリル」を、関係者のインタビューを交えて紹介されていました。

余談ですが、この9つの手法を見て、つい数学やプログラムに関連する用語と照らし合わせて連想しました。もっと良い表現はあると思いますが、こんな感じで。。

  • かくしてみた -> 隠蔽化(カプセル化)
  • ふやしてみた -> 加算
  • シンボルつくってみた -> 抽象化(クラス)
  • くっつけてみた -> ベクトルの加算?
  • ばらしてみた -> 因数分解
  • くらべてみた -> 比較
  • やめてみた -> 減算?(要素を除外する意味で)
  • やばくしてみた -> ベクトル(方向・力)
  • いれかえてみた -> 置換

振り返り

f:id:pujoru35:20180107134033j:plain

「思いつく」ことは、これまで広告業界で強く求められるスキルでもありました。クライアントの要件からコンセプト・具体的アプローチ・アウトプットまでを日々模索するものでしたが、今回の展示では広告だけに限らずプロダクトやサービスといった事例も多く紹介されていました。電通CDCの古川 裕也さんの著書 「すべての仕事はクリエイティブディレクションである。」 でも、クリエイティブは広告だけの領域に止まらないことを示唆しており、それを再認識する展示でした。古川さんの著書では、アウトプットに至る一連のフローと事例を紹介していましたが、今回の展示はその中でも具体的なアプローチの考えるヒントを、わかりやすくブレイクダウンした形に見受けられます。

本展示にて、「思いつく」ことはプランナー等の一部の人が備えているものではなく、すべての人が扱えるスキルです。それをスキルとして生かすには、筋肉を鍛えるように(これも書籍からの受け売りですが)日々「思いつく」ことを習慣づけることにあるのだなと感じました。